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那智勝浦町に隣接した太地町は黒潮に近接し、水産資源に恵まれ、古来より漁業が盛んに行われてきました。なかでも、鯨やイルカなど鯨類に恵まれ、1604年には日本初の「鯨組」が組織され、「古式捕鯨」を発達させたといわれています。 近年、国際捕鯨委員会(IWC)により商業捕鯨が禁止されましたが、IWCの管理対象外の小型鯨類とイルカ漁業が、太地町固有の伝統文化として、今でも盛んに行われています。 そして、2006年10月28日、出漁中の「勇魚(いさな)組合」所属の船団が、国内外に大きな衝撃を与え、反響を呼び起こした、生物の進化論上稀有なる大発見をすることとなりました。「腹びれイルカ」が生きたまま捕獲されたのです。それは、文字通り、腹びれのついた バンドウイルカです。 「腹びれは何らかの進化を遂げた過程と見ることが出来る」と、加藤秀弘・東京海洋大学教授は語り、同イルカが腹びれを動かしていることを確認した(2007年12月23日、読売新聞)。 |
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肛門部に後脚の痕跡が認められるクジラ類のこれまでの報告例 |
| クジラの種類 | 後脚の痕跡の形 | 発見場所 | 報告年 |
| ヒレナガゴンドウ | ひれ状 | オランダ(座礁) | 1594 |
| ザトウクジラ | 棒状突起(長さ120cm) | カナダ(捕獲) | 1919 |
| マイルカ | ひれ状 | ソ連(捕獲) | 1940 |
| マッコウクジラ | 椀状突起 | 三陸海岸(捕獲) | 1956 |
| マッコウクジラ | 乳頭状突起 | 北洋(捕獲) | 1956 |
| マッコウクジラ | 棒状突起 | ソ連(捕獲) | 1959 |
| マッコウクジラ | 棒状突起 | ソ連(捕獲) | 1962 |
| スジイルカ | いぼ状(高さ13mm) | 伊豆半島(捕獲) | 1963 |
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太地町の誇る「くじら博物館」。インターネットで検索すると、沖縄県渡嘉敷村の「歴史民族資料館」、ハワイの「ラハイナくじら博物館」などが見つかる。しかし、規模においてこの施設が最大であろう。 館内には古式捕鯨の模型や、くじらを捕獲するための様々な道具などの多数の展示があり、隣接したリンクでは鯨やイルカやシャチの芸も楽しめます。 |
「くじら博物館」内の鯨の骨格標本。様々な鯨の骨格標本があり、なかには、骨格に捕獲の際の銛(もり)の痕をとどめた標本もありました。 | |
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| 歴代の太地町の町長は鯨に多大の情熱を傾けてきました。現町長も、在任中に世紀のバンドウイルカ捕獲という幸運を受けて、この度、約一億円を投じてイルカを飼育する巨大水槽の改修を竣工させました。 | ||
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これが世紀のバンドウイルカです。 2006年10月28日、午前6時55分、燈明崎の東7マイル沖にて、100頭あまりの群れが発見され、太地湾に追い込まれたイルカのなかの一頭がこのバンドウイルカです。 |
腹びれがはっきりと見えます。2007年12月22日より、トンネル状の水槽に移った腹びれイルカが一般にも開放されました。この水槽で遊泳するイルカは、その動きにつれて、あらゆる角度から観察することが可能です。 | |
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| 多くのマスコミが押し寄せていました。この写真からトンネル型水槽の実際が見て取れます。この水槽はマリナリュウム(水族館)の一部であり、主として 太地町沖の、つまり、南方系の魚の展示もされております。 | ||
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腹びれイルカの愛称が一般より募られ、竣工式にあわせて発表されました。ご覧のとおり「はるか」です。進化論のはるかな昔を髣髴とさせる、夢のある命名です。 この名は、時間の悠久を思わせるだけではなく、日本の人工衛星にも同名がつけられたように、果てしなき空間の広がりも意識させます。 空間と時間・・・か! 「悠々たるかな天上、稜々たるかな古今。・・・曰く不可解・・・。」。こんな言葉を遺して華厳の滝に散った若き一高生もいたな。 |
町はお祭り気分です。祝賀会場では様々な催しが行われました。踊りあり、太鼓あり。小学生たちも、鯨にゆかりのある踊りでしょうか、元気溌剌としていました。 | |
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鯨は実に美味いものです。太地町の人々にとって、また、私たち那智勝浦町の者にとって、鯨は幼少の頃より慣れ親しんできた食べ物です。50年ばかり昔には、南氷洋の鯨が学校給食でもお馴染みであり、日本の第二次世界大戦後の食糧難に一役を果たしたのです。 これはミンククジラ(多分、定置網に迷い込んだものでしょう)の刺身です。白いところは皮の脂身です。赤身と一緒に食べると、まるで最上級の尾の身のように美味しい。 |
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| これは鯨のほねはぎ(骨剥ぎ)です。ボイルした鯨の骨にくっついた身をそぎ落としたものです。肉の部分があり、ゼラチン質の部分があり、実に楽しく、美味しい。 |
多くの人々が招かれ、盛大な祝賀会でした。あちこちで捕鯨の話題が出ておりました。IWCの見解も一時期は商業捕鯨への道が開かれるやに思われましたが、最近また厳しさがぶり返されているかのようです。 料理の主役は鯨です。飛ぶように・・・。 |
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